カラン
―それは遠き日の記憶―
七夕。
「たけーにたんざく、たなばた祭り♪
大いに祝おぅ♪
ろうそく一本下さいな♪」
家の外には短冊の飾りで彩られた笹の葉。
路には浴衣の子供達が、からんころんと音を立てながら駆けて行く。
手には大きな袋をぶら下げながら。
今日は、年に一度の夏のお祭り。
家を一軒一軒まわり、歌を歌い、何故か蝋燭を貰う。
子供の私にとっては、数か月分のお菓子を
得る為の日でもあり朝から期待に胸を弾ませていた。
****
今日だけは、修行もお休み。
緑色の浴衣を着せてもらい、鏡の前で自分の姿を
何度も何度も見ては、顔の筋肉を緩ませていた。
「ねーねー、師匠!!似合いますかー?」
静かに頷かれると、余計に嬉しく思えた。
ところが
しとしと……―――ざぁざぁ。
「――…わ、雨…?」
空に立ち込める暗雲。
地面が黒く染まる。
「これでは、七夕は中止でしょうかねぇ…。」
師匠の声。
「せっかく、楽しみにしていたのに。うーー。」
肩を落として、項垂れる。
―――…ロ
――ケロ
ケロケロ
―――…この泣き声はっ!!
雨に誘われて現れるは、アマガエル。
緑色の姿が視界に飛び込む。
「師匠!蛙ですよー!!
……くぅぅ…か、可愛い…っ!!」
「ボロブが、悲しそうな顔をしていたから
励まそうとしてやってきたのかもしれませんよ?」
「…え?
…そっか、ありがと。
来年は、一緒に行こうか。」
そっと蛙を一匹掌に取り、笑みを向けた。
―それは遠き日の記憶―
七夕。
「たけーにたんざく、たなばた祭り♪
大いに祝おぅ♪
ろうそく一本下さいな♪」
家の外には短冊の飾りで彩られた笹の葉。
路には浴衣の子供達が、からんころんと音を立てながら駆けて行く。
手には大きな袋をぶら下げながら。
今日は、年に一度の夏のお祭り。
家を一軒一軒まわり、歌を歌い、何故か蝋燭を貰う。
子供の私にとっては、数か月分のお菓子を
得る為の日でもあり朝から期待に胸を弾ませていた。
****
今日だけは、修行もお休み。
緑色の浴衣を着せてもらい、鏡の前で自分の姿を
何度も何度も見ては、顔の筋肉を緩ませていた。
「ねーねー、師匠!!似合いますかー?」
静かに頷かれると、余計に嬉しく思えた。
ところが
しとしと……―――ざぁざぁ。
「――…わ、雨…?」
空に立ち込める暗雲。
地面が黒く染まる。
「これでは、七夕は中止でしょうかねぇ…。」
師匠の声。
「せっかく、楽しみにしていたのに。うーー。」
肩を落として、項垂れる。
―――…ロ
――ケロ
ケロケロ
―――…この泣き声はっ!!
雨に誘われて現れるは、アマガエル。
緑色の姿が視界に飛び込む。
「師匠!蛙ですよー!!
……くぅぅ…か、可愛い…っ!!」
「ボロブが、悲しそうな顔をしていたから
励まそうとしてやってきたのかもしれませんよ?」
「…え?
…そっか、ありがと。
来年は、一緒に行こうか。」
そっと蛙を一匹掌に取り、笑みを向けた。
コメント