――…しとしと…
いつもだったら、この時期は梅雨で
師匠の家のある森は薄暗い闇に覆われていた。
雨音とカエルの鳴き声を聞きながら
毎日毎日、書を書いていた日々。
「ねーねー、師匠。
こうやって過ごす日々っていいですね。
雨が降ると、気分が滅入ったりする人が多くなるって
何かで読んだ事があるんですけれど
ボクはそんな事、全然ないなー。
だってだって、雨が降ったらカエル沢山だし!
あー、半紙がちょっと湿っぽくなって
よれよれーってなっちゃうのは辛いかなー。
墨の乗りも僅かに変わる気がしますしね。
あ、あとは、洗濯物が乾き難いとかもあるかなぁ?」
止まる事なく喋るボクを見て、師匠がぴしゃりと
「…ボロブ。
口より先に、手を動かしなさい。」
ザーーー…
「ぅ、ごめんなさい。師匠。」
しょんぼりとしながらも、姿勢を正して筆を握る。
ボクの横を歩く師匠が、外の景色を見ながら呟いた。
「恵みの雨、ですね。」
****
「遺跡の中って、雨が降らないよね。
…当たり前だけど。」
天井を見上げ、ぽつりと呟く。
見つめる先は、天井を越えた先にある空だったのかもしれない。
今日の天気は何だろう。
いつもだったら、この時期は梅雨で
師匠の家のある森は薄暗い闇に覆われていた。
雨音とカエルの鳴き声を聞きながら
毎日毎日、書を書いていた日々。
「ねーねー、師匠。
こうやって過ごす日々っていいですね。
雨が降ると、気分が滅入ったりする人が多くなるって
何かで読んだ事があるんですけれど
ボクはそんな事、全然ないなー。
だってだって、雨が降ったらカエル沢山だし!
あー、半紙がちょっと湿っぽくなって
よれよれーってなっちゃうのは辛いかなー。
墨の乗りも僅かに変わる気がしますしね。
あ、あとは、洗濯物が乾き難いとかもあるかなぁ?」
止まる事なく喋るボクを見て、師匠がぴしゃりと
「…ボロブ。
口より先に、手を動かしなさい。」
ザーーー…
「ぅ、ごめんなさい。師匠。」
しょんぼりとしながらも、姿勢を正して筆を握る。
ボクの横を歩く師匠が、外の景色を見ながら呟いた。
「恵みの雨、ですね。」
****
「遺跡の中って、雨が降らないよね。
…当たり前だけど。」
天井を見上げ、ぽつりと呟く。
見つめる先は、天井を越えた先にある空だったのかもしれない。
今日の天気は何だろう。
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